Volume 1, 2025

  • 塩素化処理による下水汚泥炭化物からのリン回収

    「いのちの元素」、「産業の栄養素」と呼ばれるリンを下水汚泥から塩化リンとして回収する手法を見出した。具体的には、先ずハンドリング性の向上のため下水汚泥を炭素化し、次いで得られた炭化物を500℃で塩素化し、最後に冷却堆積法で塩化リンと不純物を分離する簡便な下水汚泥再資源化技術を開発した。本法は下水汚泥焼却灰・家畜糞・製鋼スラグ等にも応用可能である。

  • Investigation of Single Ammonia Droplet Evaporation Characteristics Under High Temperature and Pressure Conditions

    アンモニアはCO₂排出量を大幅に減らすための代替燃料として有望であるが、その効率的な利用のためには、液体のまま直接噴霧して燃焼利用するための技術開発が必要となる。本研究では、世界で初めて高温高圧条件下におけるアンモニア液滴の蒸発特性を明らかにするとともに、アンモニア噴霧燃焼技術開発に必要な液滴蒸発データを取得した。

  • α-Al₂O3(0001)/α-Cr₂O₃(0001)界面における水素同位体の拡散抑制メカニズムの解明

    水素は金属材料を脆くする水素脆化を引き起こすため、燃料電池や核融合などの水素エネルギーの普及には構造材料中への水素の侵入を防ぐための方策が必要です。本研究では、水素の拡散を防ぐことができる複数のセラミックス膜を重ねて金属材料表面へコーティングすることで、金属材料への水素の侵入を効果的に防ぐメカニズムを明らかにしました。

  • Effect of Wet−dry Cycles and Water-to-cement Ratios on Cement Paste Carbonation

    セメント産業から排出されるCO₂量は全体の約8%で、廃コンクリートの促進炭酸化技術に関する研究が求められている。本研究では、乾湿繰り返しがセメント硬化体の炭酸化に及ぼす影響を分析した。その結果、乾湿繰り返し環境下でのCO₂吸収量は、一定湿度の約2倍であり、炭酸化28日でのCO₂吸収量は、セメント製造時の年間CO₂排出量の約17%を占めた。

  • 富栄養湖底泥からのリン酸イオン溶出速度を定量可能な底泥埋込型パッシブサンプラーの開発

    湖沼底泥から溶出するリン酸イオンの溶出速度を定量するため、新規サンプラーを開発した。サンプラーを原位置で湖沼底泥に埋め込むことで、底泥-水界面付近のリン酸イオン濃度分布が得られる。さらに、得られたデータからリン酸イオン溶出速度が算出できる。開発したサンプラーは湖沼水環境の評価と保全に活用が期待される。

  • モード分解を用いた流体構造連成の時空間モード抽出

    流体構造連成解析で得られた構造変形の時空間モードを動的モード分解によって抽出する手法を提案した。これを用いることで、流体による力が大きな構造変形を伴うような対象、たとえば柔軟構造エアロシェルなど、に対して、主要な構造変形モードを明らかにすることができるようになった。

  • メタン+プロパン混合ガスハイドレートの核生成確率の組成依存性

    ガスハイドレートは天然ガス等を大量に含む「燃える氷」として知られ、将来の国産天然ガス資源の一つとして注目されている。この物質を天然ガスの貯蔵・輸送媒体として利用するため、生成制御の難しい核生成に関する研究を行っている。本研究はその核生成率が組成に依存することを見出し、ガスハイドレート核生成メカニズムを明らかにした。

  • 放射性核種を含む再生骨材を用いたコンクリート中の放射性元素の移行

    放射性コンクリート廃棄物を再利用する手法として、汚染された再生骨材を新たなコンクリートに使用する可能性を検討している。ストロンチウムとセシウムを含む模擬汚染再生骨材を用いたコンクリートにおいて、核種のセメントマトリックス内への移行を実験的に観察するとともに、長期的な数値シミュレーションモデルを構築している。これにより、放射性コンクリート廃棄物の合理的で安全かつ有効な減容化を提案する。

  • イガイ接着タンパク質を用いたマイクロプラスチックの磁力回収

    ムラサキイガイの足に存在する接着タンパク質は、鉄(無機物)からプラスチック(有機物)まで幅広い物質に接着することができる。接着タンパク質の“何にでもくっつく性質”を利用して、マイクロプラスチックと磁性微粒子を複合化した。その複合体は磁力による回収が可能であり、水溶液中のマイクロプラスチックを99%以上の効率で除去することができた。

  • β-(BEDT-TTF)₂I₃における有機分子の配座秩序に依存した光誘起金属-絶縁体相分離

    本研究では超高速スイッチングデバイスの基礎となる光誘起相分離(PIPS)に対する有機分子の配座秩序の役割を調査した。その結果、PIPSは部分秩序相では150K以下、均一秩序相では75K以下で起こることがわかった。この結果は、配座秩序がPIPSの発現温度に重要な役割を果たすことを意味しており、デバイスの実用化に重要な室温動作に向けた重要な知見となる。