Volume 2, 2026

  • 3D-RBSMによる3Dプリンティングコンクリートの異方性圧縮挙動及び引抜性能のメソスケール解析

    本研究は、3D剛体バネモデル(RBSM)を用い、鉄筋入り3Dプリンタコンクリートの異方性を分析しました。解析の結果、積層界面の空隙が性能に影響し、積層平行方向の載荷は高い圧縮・付着強度を示す一方、垂直方向は界面の弱部により性能が低下することが判明しました。本成果は、構造最適化に向けた予測枠組みを提供します。

  • 超流動滴下:連続時間結晶の新たな類似物

    超流動ヘリウムでは、液滴がぽたぽたと垂れる時間間隔が一定になることが分かった。これは超流動滴下系が時間結晶性を示すことを示唆している。この規則的な滴下は、カップの底面から垂れ下がる液滴の縁が自由に動くときのみ現れた。縁の自由な運動は粘性のある通常液体では実現しないため、粘性の無い超流動液体でのみ可能な特異な滴下過程と言える。

  • 鋼材腐食と凍結融解の複合作用がコンクリート中の異形鉄筋の引抜き性状に及ぼす影響

    本研究は、積雪寒冷地のコンクリート構造物に多く生じる鉄筋腐食と凍結融解による複合劣化について、作用順序とひび割れ履歴が鉄筋の付着性能に及ぼす影響を、初めて体系的に検討したものである。特に、先行ひび割れが劣化を著しく加速することが示され、耐久性評価には損傷履歴の考慮が不可欠であることを明らかにした。

  • グラフベースネットワークとクラックアテンションを用いたマルチモジュール深層学習によるLiDAR点群からのトンネル覆工ひび割れ抽出

    本研究は、鉄道トンネル覆工のひび割れを効率的に検出するため,LiDAR点群データを直接利用する深層学習手法「PointCrackNet」を提案している。グラフベース畳み込みやアテンション機構を組み合わせることで微細なひび割れを高精度に抽出し,大規模実データによる検証でも既存手法より優れた性能を示しており,トンネル点検の自動化とインフラ維持管理の高度化に貢献する成果である。

  • コンクリート中の鉄筋腐食に伴う劣化検出を対象とした教師なし学習によるAI駆動型音響解析

    鉄筋コンクリート構造物の安全性確保には効率的な点検が重要である。本研究は、専門知識に依存しがちな打音検査にAIを適用し、教師なし学習により損傷を評価する手法を提案した。実験結果から、算出された異常指標が鉄筋腐食やひび割れの進行と対応することを示し、初期損傷検知への有効性を確認した。

  • コンクリート中の鉄筋腐食の検出を目的とした犠牲陽極材を用いたMEMS環境振動センサ

    本研究は、MEH技術を用いたMEMS型監視システムにより、RC構造物における塩害による腐食の起こりやすい領域を検出する手法を提案するものである。犠牲陽極金属板をデバイスの一部に組み込むことで、自立発電による鉄筋腐食の進行を検知可能とし、外部電源を必要としない自己駆動型モニタリングを実現する。

  • 深層学習を用いた衝撃弾性波法によるコンクリート中のひび割れ検出

    コンクリート構造物における内部ひび割れ検出を目的として、インパクトエコー法にAIを統合した手法を提案している。FFTデータを用いた教師あり深層学習により損傷レベルを分類するとともに、実構造物への適用を考慮し、オートエンコーダによる教師なし学習により、教師データの構築を不要とした損傷検知を可能とした。

  • フッ素系難燃剤の難燃性能に対する流れの滞留時間の影響:CH₂F₂とCH₄の吹き消え限界の比較

    本研究では、微小重力環境下において ETFE に代表されるフッ素樹脂の可燃性が増大する要因を明らかにすることを目的として、ハイドロフルオロカーボン(HFC)燃料および炭化水素(HC)燃料の燃焼特性を詳細化学反応の観点から解析した。その結果、CH₂F₂ は CH₄ と異なり、吹き消え限界の酸素濃度に対する感度が極めて小さいことが示された。CH₂F₂ 火炎では火炎温度が低く、H および OH ラジカルの生成が抑制されており、これは HF 生成経路が支配的となることでラジカル連鎖反応が阻害されるためである。一方、CH₂F₂ は吹き消えを起こしやすい特性を有するものの、高い断熱火炎温度を維持するため、十分な滞留時間が確保されれば低酸素濃度条件下でも燃焼が成立することが明らかとなった。

  • 土壌・フルボ酸画分・粘土腐植複合体の固体-励起蛍光マトリクス分光法:凝集に伴う蛍光極大のレッドシフトに関する考察

    土壌中の有機物(腐植物質)分析に必須なアルカリ抽出操作によるアーティファクトが問題視され、抽出に基づく腐植物質研究の正当性が揺らいでいる。本研究では腐植物質標準試料および粘土との複合体に対し、非抽出・非破壊な固体-励起蛍光マトリクス分光法(SPF-EEM)を世界で初めて適用し、蛍光極大波長が溶液・複合体・凝集体などの状態に応じてシフトしうることを見出した。

  • プラズマ支援水電解反応による水素生成技術の開拓

    プラズマと水が接触する電解反応である“接触グロー放電”では、ファラデー効率が1を超える現象が報告されているが、その反応機構は未解明である。水中に安定な直流プラズマを生成するプラズマ駆動電解法を開発し、通常の電解と比較して水素発生量が著しく増加する現象のメカニズムを解明し高効率な水素製造技術の確立を目指す。