土木工学部門
-
コンクリート中の鉄筋腐食の検出を目的とした犠牲陽極材を用いたMEMS環境振動センサ
本研究は、MEH技術を用いたMEMS型監視システムにより、RC構造物における塩害による腐食の起こりやすい領域を検出する手法を提案するものである。犠牲陽極金属板をデバイスの一部に組み込むことで、自立発電による鉄筋腐食の進行を検知可能とし、外部電源を必要としない自己駆動型モニタリングを実現する。
Nicharin Nithimethaporn, 橋本勝文, 三屋博幸, 芦澤久幸, 石黒巧真, Wanchai Yodsudjai
コンクリート中の鉄筋腐食に伴う劣化検出を対象とした教師なし学習によるAI駆動型音響解析
鉄筋コンクリート構造物の安全性確保には効率的な点検が重要である。本研究は、専門知識に依存しがちな打音検査にAIを適用し、教師なし学習により損傷を評価する手法を提案した。実験結果から、算出された異常指標が鉄筋腐食やひび割れの進行と対応することを示し、初期損傷検知への有効性を確認した。
Nopphanan Phannakham, 橋本勝文, 佐藤康彦, 上田尚志
グラフベースネットワークとクラックアテンションを用いたマルチモジュール深層学習によるLiDAR点群からのトンネル覆工ひび割れ抽出
本研究は、鉄道トンネル覆工のひび割れを効率的に検出するため,LiDAR点群データを直接利用する深層学習手法「PointCrackNet」を提案している。グラフベース畳み込みやアテンション機構を組み合わせることで微細なひび割れを高精度に抽出し,大規模実データによる検証でも既存手法より優れた性能を示しており,トンネル点検の自動化とインフラ維持管理の高度化に貢献する成果である。
Shanpeng Liu, 磯部公一, Junling Si, Diyuan Li, Daoju Ren
Construction and Building Materials Volume 494, 2025, 143383
鋼材腐食と凍結融解の複合作用がコンクリート中の異形鉄筋の引抜き性状に及ぼす影響
本研究は、積雪寒冷地のコンクリート構造物に多く生じる鉄筋腐食と凍結融解による複合劣化について、作用順序とひび割れ履歴が鉄筋の付着性能に及ぼす影響を、初めて体系的に検討したものである。特に、先行ひび割れが劣化を著しく加速することが示され、耐久性評価には損傷履歴の考慮が不可欠であることを明らかにした。
3D-RBSMによる3Dプリンティングコンクリートの異方性圧縮挙動及び引抜性能のメソスケール解析
本研究は、3D剛体バネモデル(RBSM)を用い、鉄筋入り3Dプリンタコンクリートの異方性を分析しました。解析の結果、積層界面の空隙が性能に影響し、積層平行方向の載荷は高い圧縮・付着強度を示す一方、垂直方向は界面の弱部により性能が低下することが判明しました。本成果は、構造最適化に向けた予測枠組みを提供します。
Jiaxu Yao, Jie Luo, Minghong Qiu, and Kohei Nagai
確率的相関を考慮したネットワークにおける信頼性経路探索問題:ハイパーグラフ上の線形計画法問題
NP困難な問題として知られる信頼性経路探索問題は、本研究で開発したハイパーグラフ上では、容易に求解可能な線形計画法問題として表現できることを世界で初めて証明した。未だ解決していない数学の7大難問であるP vs NP問題に対して重要な知見を与える研究である。
基本解近似解法を用いたEringenによる非局所弾性体のSH波動散乱解析
Eringenによる非局所弾性体は、古典弾性論では取り扱いが困難な現象を解析可能にする力学モデルである。本研究では、メッシュフリー法のひとつである基本解近似解法を用いて、非局所弾性体に対する波動散乱解析を行った。非局所弾性体に特有な表面力作用素の解析表現を導出し、超音波非破壊検査において重要となる散乱特性を評価した。
古川 陽, 丸山 泰蔵, 斎藤 隆泰, 廣瀬 壮一, Davinder Kumar, Dilbag Singh, and Sushil K. Tomar
深層学習を用いた衝撃弾性波法によるコンクリート中のひび割れ検出
コンクリート構造物における内部ひび割れ検出を目的として、インパクトエコー法にAIを統合した手法を提案している。FFTデータを用いた教師あり深層学習により損傷レベルを分類するとともに、実構造物への適用を考慮し、オートエンコーダによる教師なし学習により、教師データの構築を不要とした損傷検知を可能とした。
Jeero Pandum, 橋本勝文, 杉山隆文, Wanchai Yodsudjai
エレクトレット振動発電と無線電送による異常検知技術の研究開発
インフラ構造物の状態および環境のセンシングが可能なバッテリレス異常検知デバイスを開発し、無線エネルギーおよびデータ通信プラットフォームを構築する。特に、環境振動発電により駆動するエレクトレットMEMSセンサが自立的に検出した構造物の劣化や損傷および環境や不具合に関する情報をマイクロ波空間伝送(WPDT)技術によるIoTネットワークによりモニタリングできるシステムを実現する。これにより、常時および緊急時を問わずフェーズフリーに対応可能な、インフラ構造物および附属設備を対象としたシームレスなモニタリングプラットフォームを社会実装する。
代表者: 橋本 勝文, 三屋 裕幸, 藤原 暉雄
NEDO先導研究プログラム 新技術先導研究プログラム/新産業・革新技術創出に向けた先導研究プログラム インフラの常時モニタリングに用いる自立型センシングシステムの開発
3DPコンクリートの階層的構造形成に基づく材料挙動と力学性能の解明
本研究では、3DPコンクリートの積層時において一次構造となるフィラメント内部の材料分離の発生(材料幾何の微視的領域の“不均質性”)と、積層経路に基づく界面と層間空隙の形成(構造幾何の巨視的領域の“不均一性”)による積層体内部の高次構造を解明し、3DPコンクリートがマルチスケールな材料物性と力学特性を持つ階層的材料であることを説明する。不均質性(≒材料幾何)と不均一性(≒構造幾何)が幾何パラメータとして三次元情報に内包される学術的知識を、3DPコンクリート技術の根幹として体系化し、材料と構造の階層的な組織形成による3DPコンクリートの力学特性と破壊形式を紐解く。
橋本 勝文, 杉山 隆文, 小野 新平
科学研究費助成事業 基盤研究(B) R7.4.1~R10.3.31