環境工学部門
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AIを利用した活性汚泥の静止画像・動画解析による沈降性評価
下水処理の最終行程では、汚濁成分の吸着・分解を担う微生物の塊「活性汚泥」の沈降性が重要である。本研究では、経営面、熟練技術者確保といった人材面の問題を抱える地方や発展途上国の処理場の効率化に貢献すべく、安価なデジタル顕微鏡による活性汚泥画像やスマートフォンのカメラ機能による活性汚泥沈降動画をAIも活用して解析する、導入コストの低い沈降性能の診断手法を提案した。
中屋佑紀、杉野魁、石崎翔大、平野麗子、野田周平、茂庭忍、平岡由紀夫、佐藤久
パッシブサンプリングとリン酸酸素安定同位体比分析による湖沼底泥からのリン溶出評価
富栄養湖では湖水中のリン濃度が下がらないことが問題となっている。本研究ではリンがどこから湖水へ供給されているのかを明らかにするため、パッシブサンプラーとリン酸酸素安定同位体比分析を活用する。これにより今までは評価できなかった湖沼底泥からの供給も明らかにする。本研究は湖沼水環境の評価と保全に活用が期待される。
羽深昭,石田卓也,佐野航士
公益財団法人住友財団2025年度環境研究助成(一般) 2025.11.01~2026.11.30
パーム油製造廃棄物を用いた Bio-CNG 製造のための発酵 プロセスおよび CO₂選択吸着剤の開発
本研究はマレーシアのパーム油産業から排出される副産物であるパーム油廃液および空果房(くうかぼう)を有効活用し、再生可能エネルギーであるBio-CNG(バイオ圧縮天然ガス)の生産と精製を高度化することを目的とする。具体的には、日本側は嫌気性消化プロセスの開発および運転支援に加え、微生物群集構造の解析や機械学習を活用したデータ駆動型モデリングを行い、プロセスの安定化やCO₂吸着材性能の迅速かつ精密な最適化に貢献する。マレーシア側は空果房の前処理条件や発酵条件の最適化、空果房由来バイオ炭を用いたガス分離技術の開発・評価を担当する。両国のチームによる共同研究を通して、マレーシアにおける脱炭素型エネルギー社会の実現に向けた再生エネルギー技術基盤の構築が期待される。
押木守、アデリン・セ・メイ・ チュア
科学技術振興機構(JST) 日ASEAN科学技術・イノベーション協働連携事業(NEXUS) 国際共同研究 2026.1〜2028.12
土壌・フルボ酸画分・粘土腐植複合体の固体-励起蛍光マトリクス分光法:凝集に伴う蛍光極大のレッドシフトに関する考察
土壌中の有機物(腐植物質)分析に必須なアルカリ抽出操作によるアーティファクトが問題視され、抽出に基づく腐植物質研究の正当性が揺らいでいる。本研究では腐植物質標準試料および粘土との複合体に対し、非抽出・非破壊な固体-励起蛍光マトリクス分光法(SPF-EEM)を世界で初めて適用し、蛍光極大波長が溶液・複合体・凝集体などの状態に応じてシフトしうることを見出した。
中屋佑紀、廣瀬貴志、田森龍一、藤嶽暢英、中嶋悟、山村寛、佐藤久
培養からの脱却による培養困難なウイルスの浄水処理性評価法の創造
本研究は、浄水処理性が全く分かっていない、ノロウイルスなどの「培養困難な」ウイルスの浄水処理性を明らかにするものである。本研究では、遺伝子組換技術によりウイルス外套タンパク粒子を作製し、そこに非ウイルスベクター作製技術を応用して外来遺伝子を封入し、これを浄水処理実験に適用することにより、培養に頼らない処理性評価法を創造する。
松下 拓, 白崎 伸隆
科学研究費助成事業 基盤研究(A) R7.4.1~R10.3.31